Lesson8-5 面接選考のポイント⑤

求める人材を見極めるための質問術【続き】

前回のページの続きになります。

時系列で聞く

面接官は、応募者が自分のことを話しやすいように、
面接での会話をコントロールする必要があります。

その方法の1つは、質問を時系列で聞くことです。

質問が現在のことだったり、過去のことだったり、
時間軸で行ったり来たりするのは、
話したいことが整理しにくく、話しずらいです。

質問は、「過去→現在→未来」の流れで聞いてください。

例えば、次のような流れになります。

  1. 現在の会社に入社した理由(過去)
  2. 現職の仕事のやりがいは何か(現在)
  3. 当社に入社したら、◯年後はどのようになっていたいか(未来)

ここまで求める人材を見極めるための質問術について、
解説してきました。

これまで学習してきてわかったように、
面接での質問はよく吟味して選び、
必要に応じて深掘り質問をしていくスキルが求められます。

面接での会話は、採用選考では非常に重要なプロセスです。

もし求める人材になかなか会えないと思っているなら、
本来なら自社に合う人材を、
面接で落としてしまっている可能性もあります。

このレッスンで学んだことをもとに、
面接の質問内容をよく見直してみましょう。

社内で評価基準を確認しておく

人材を評価する時、多くの「ワード」が使われます。

採用の現場でよく聞く言葉は、例えば次のようなワードがあります。

  • 地頭が良い
  • コミュニケーション能力
  • 意欲がある
  • 自身がある
  • 主体性がある
  • ストレス耐性がある
  • 論理的思考能力がある

といったワードです。

これらのワードは非常に抽象的で、
その人の立場や年齢、性別によって、
解釈がずれてしまいます。

例えばコミュニケーション能力が高い人では、
「話し方が上手」と言う意味だと思っている人と、
「空気をよく読む」という意味だと思っている人など、
意味の捉え方はさまざまです。

選考で使うこうしたワードは、採用を担当する社員全員で、
共通の認識を持たなければなりません。

選考が始まる前に、社内で1つ1つのワードの意味を明確に定義しておきましょう。

ストレス耐性を見極める

採用でよく聞くワードとして上でもあげた「ストレス耐性」は、
採用条件に入れる会社が増えています。

しかし、「ストレス耐性」と言うワードも、
しっかりと定義しておく必要がありそうです。

その人材が有する「ストレス耐性」が、
仕事において意味のない場合があるからです。

例えば、空気が読めず、鈍感だからストレスを感じない人がいます。

このような人は、顧客対応の現場では、
顧客の望むものを理解できず適正がないと言えます。

また、何か問題が起こった時に、
自分の責任ではなく周りに責任転嫁する人も、
ストレス耐性が高い人です。

このような人も、求める人材として適していないでしょう。

一方で、つまらない仕事にも意味を持たせ、
自分の将来やキャリアにも役立つと思って対応できる人も、
ストレス耐性の高い人です。

このように、「ストレス耐性が高い人」を採用したい場合、
応募者のストレス耐性はどのパターンなのか、判断する必要があります。

各面接で見極めるポイント

通常、どの企業でも面接は複数回に分けて行います。

そのため、一度目の面接で応募者の全てを見る必要はなく、
段階的に絞っていきます。

ここでは面接を3回に分けた場合の、
各ステージで見るべきポイントについて解説していきます。

一次面接

一次面接では、応募者はまだ全く絞れていない状態なので、
さまざまなレベルの応募者が混在しています。

また人数も多いため、
一次面接ではグループ面接を実施することもあります。

そうした中で、
性格や自社に合うか合わないかなど、
たくさんのことを見極めるのは難しいでしょう。

そのため、一次面接ですべきことは、
「基礎的な能力」で選別することです。

基礎的な能力を具体的に言うと、

「面接官の質問意図をしっかりと理解し、
それに対してわかりやすく論理的に回答できるか」

ということです。

これに絞って選別すれば、
面接官の負荷も少なくなりますし、
選考基準も曖昧にならずに済みます。

二次面接

一次面接を通過した応募者は、
少なくとも質問には的確に答えることができます。

そこで二次面接では、応募者の人となりを見ていきます。

応募者の性格、行動パターンや思考、
その人が社風に合っているかなどを会話の中で探っていくので、
一次面接の時とは違い、ある程度の面接スキルがある人が担当した方が良いでしょう。

最終面接

最終面接に残った応募者は、
質問に的確に答えられ、
性格や人柄も社風に合っている人になります。

一定以上のレベルの候補者となる人たちですが、
採用枠があるのでこの中から特に優秀な人材を選ばなければなりません。

優先順位を決めるには、
できるだけ具体的なエピソードを掘り下げて聞いていく必要があります。

この時、候補者の比較基準を、「社内にいる人物」にすると
わかりやすいでしょう。

例えば、今はリーダーを担っている若手社員の入社当時と、
候補者を比べるのです。

つまり最終面接も、的確な質問ができるスキルを持ち、
さらに比較対象となる社内の人物を多く知っている、
できるだけ面接経験が豊富な人が面接官となるのが望ましいです。