
求める人材を見極めるための質問術
前回のレッスンでは、
一般的に面接で使われる質問内容について学びました。
一般的な質問だけでは、
求める人材かどうかを見極めるのは難しいことがあります。
このレッスンでは、
目の前の応募者が求める人材であるかどうかを
面接で見極めるためにはどのような質問をし、
どのような回答を重視すべきかについて、
解説していきます。
応募者の可能性や素質を見る
面接では、履歴書や職務経歴書などの書類からは読み取れない、
目の前に座っている応募者の可能性や素質を見極めたいものです。
そのためには、応募者への質問は、
しっかり面接官がテーマを絞って聞いた方が良いでしょう。
組織で役立つ行動や思考パターンができるか見極めたい時
組織で役立つ行動・思考ができるか見極めたい時は、
「チームワークで頑張ったこと」
を具体的に聞いてみましょう。
「これまで頑張ったことは何ですか」
だと、1人で頑張ったことも含まれてしまいますし、
1人で頑張ることの方が多いので、
大体は受験勉強や資格試験勉強のことなどのエピソードになってしまいがちです。
「1人で頑張ったこと」という話でも、
忍耐力や目標に向かって計画的に頑張れるかなどがわかりますが、
組織に必要な他者との関係性の中で発揮される能力を見ることはできません。
応募者が組織内で役立つ行動や思考ができるかを見極めたい時は、
過去にチームワークで頑張ったことについて質問してみてください。
困難に直面した時、克服できる人材か見極めたい時

業務は、好きな仕事ばかりではありません。
業務を遂行するにあたっては、好きではない仕事も、
嫌なことに直面することも多々あるでしょう。
そうした時に、どのように頭を切り替え、
嫌な業務や体験を克服するのかを見極めたい時は、
「これまで嫌なことに直面したことがあるか、
どのようにそれに対応したか、どのように工夫して乗り切ったか」
と質問しましょう。
よく、「好きなことは何ですか」
という質問をすることが多いと思いますが、
好きなことは幅が広いですし、
本来、人間は好きなことは努力しなくても頑張れるものです。
むしろ、嫌いなことと、それを克服するための工夫について
聞いてみましょう。
また、同じような内容では「これまで楽しかったこと」を聞くよりも、
「これまで苦労したこと」
について聞いてみると良いでしょう。
このように、まずは「何を見極めたいか」を決め、
それを聞き出せるような質問をチョイスします。
深掘り質問をする
応募者に聞く質問は、
たくさんするよりも、
決めた質問を深掘りして聞いてみましょう。
例えば上の「チームワークで頑張ったこと」
の質問では、まずは応募者の「役割」はどのようなものだったのか
聞いてください。
- リーダーだったのか
- 主催者だったのか
- それともチームメンバーの1人だったのか
- 裏方の役割を担っていたのか
このように、具体的に何を担当したのか質問します。
また、チームワークで頑張ったことが、
どの程度のことだったのかも確認します。
何かのイベントをチームで企画・実行したのであれば、
- どれぐらいの規模のイベントで
- 何人ぐらい集客し
- 会場の規模はどれぐらいだったのか
など、もし数字でわかるならば数字も確認してください。
このように、応募者が答えてくれるエピソードの表面だけをみるのではなく、
深掘り質問をしてエピソードの具体的な内容や背景を知ることで、
組織で活躍できそうかの判断材料を得ることができるでしょう。

深掘り質問のメリット
こうして過去のエピソードを掘り下げて、
深い内容の話を応募者から聞くことは、
応募者の人間性を知ることができるというメリットがあると同時に、
「自分の話しに関心を持って聞いてくれた」
と、応募者に満足感、安心感を持たせることもできます。
「この会社でなら自分は本音で話しても大丈夫なんだ」
という思いを持たせることは、
応募者の会社への志望度を高めます。
プロセスを重視する
応募者の話を聞く時、
そのエピソードの結果についてはあまりこだわらない方が良いでしょう。
例えば部活の試合で1回戦で敗退したのと、
決勝戦まで勝ち抜いたのとでは、
決勝戦の話の方が評価を高くしてしまいがちです。
しかし、採用の面接では結果ではなく、
その結果を得るまでの過程についてのエピソードを、
深掘りしてください。
例えば、
「その結果を得るために、具体的にどのような行動をしたのですか」
という質問です。
なぜなら、結果を得るまでの過程で取った行動と思考こそが、
入社後に自社で活躍できるかどうかの判断材料となるからです。
次のページでも、
質問術の続きを解説していきます。

