
③ 自社の魅力を考える
前回のレッスンでは、「演繹的アプローチ」「帰納的アプローチ」を用いたり、
ペルソナを設定して採用担当者間で共有し、
求める人材像を明確にすることを学びました。
求める人材像を明確にしたら、
次のステップでは「自社の魅力」を考えていきましょう。
あなたは、これまで一度は求人広告を見たことがあるのではないでしょうか。
その時の印象を覚えていますか。
ほとんどの求人はありきたりな文章でまとめられ、
魅力を感じなかったのではないでしょうか。
しかし、その中でも自分が惹かれる求人広告のいくつかに、
応募したことでしょう。
応募した求人広告はおそらく、
あなたが魅力を感じ、知りたい内容が掲載されていたのではないでしょうか。
伝えるべきことは「伝えたいこと」ではない
求人情報を作成する時、
多くの会社では自社が魅力だと考えることを掲載するでしょう。
しかし、それでは求職者に魅力は伝わりません。
何を魅力と感じるかは、
人によって異なるからです。
そこで、前章で設定した、
自社が求める人材像が魅力的と感じるメッセージは何かを考え、
広告に盛り込むのです。
つまり、伝えるべきメッセージは、あなたの会社が伝えたいことではなく、
応募者が知りたいことは何か、何に興味があるのか、
そして現在は何に不安や不満を感じているのかを理解し、
そのポイントに絞った内容を伝えるべきなのです。
これを前提とした上で、自社の魅力・強みを洗い出してみましょう。
採用の4P
自社の魅力・強みを洗い出すのに、
まずは4つのポイントを使ってみましょう。
Philosophy(理念)
Philosophyは理念やビジョン、目標などです。
「この事業を通して、どのように社会に貢献したいか」などの、
経営指針などになります。
企業理念や企業の価値観も、求職者が重視する内容の1つです。
同じ志を持つ同志を見つけるためにも、
Philosophyを明確にし、社内で共有しておくと良いでしょう。
Profession(仕事・事業)
Professionは事業内容や仕事内容になりますが、
事業内容は単に説明するだけでは他社と差別化できません。
具体的に以下の内容も洗い出してみましょう。
- 将来的にどのように事業を成長させていく予定か
- 目標を達成するために、足りていないものは何か
仕事内容も、仕事の内容だけではなく、次のように洗い出します。
- やりがい
- 仕事を通して得られるスキルや能力
- 仕事を通して得られる経験
- 仕事で大変なこと
良いことばかりではなく、
課題や大変なことも正直に伝えると、
入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
People(人)

Peopleは風土や人材、人間関係です。
会社の社風や、
社内にはどのようなメンバーが多いのかを見てみましょう。
例えば、
- 休日も集まって活動することがあるか
- 飲み会の頻度
- 上司にはどのような人がいるか
- チームワークが多いか、個人で動くことが多いか
などです。
どのような人が働いているのか、
社内ではどのようにコミュニケーションを取っているのかが分かれば、
求職者は実際に働いているところをイメージしやすいです。
また、会社がどのような人材を求めているのかも、
間接的に伝えることができます。
Privilege(特権)
Privilegeは働く環境や福利厚生などです。
- 勤務地・配属(選択権はあるか)
- リモートワークの有無
- 時短勤務の有無
- 残業はどれぐらいか
- 完全週休2日制か
- 夏季休暇の有無
- 法定外福利厚生の内容
仕事内容や得られるスキルと同時に、
ワークライフバランスや待遇面を重視する求職者も少なくありません。
しっかり休暇が取れる、充実した福利厚生などがある場合は、
そういった求職者にとって魅力的ですので、提示すると良いでしょう。
自社の魅力を社員にもヒアリングする

経営者が考える自社の魅力と、
社員が考える魅力は、意外と異なるものです。
経営者が、
- 大手との取引が多く、事業が安定している
- 技術力が高い
などといった事業に関する強みや魅力をあげる一方で、
社員の中では、
- フレックスタイムで働きやすい
- 上司や先輩との関係が近く、質問しやすい
- 行事が多いので親睦を深められ、社員同士仲が良い
- 福利厚生が充実している
など、職場環境に関する魅力が多くあがります。
こうしてさまざまな社員にヒアリングしてみることで、
当たり前だと思っていたことが実は自社の強みであったり、
新たな魅力の発見につながります。
このように多面的に自社の魅力・強みを洗い出すことも
おすすめです。

