
② 求める人材像を決める
「この会社で働く理由は何か」を明確にしたら、
次のステップは「求める人材像を決める」です。
どうしてここで求める人材像を決めるのでしょうか。
それはこの次の「自社の魅力は何かを考える」と関連しています。
またここで「掃除機」を例にあげたいと思います。
あなたの会社で開発している掃除機には次のような魅力があるとします。
- 軽くて使いやすい
- 絨毯についたペットの毛もしっかり吸える
- デザインがシンプルでスタイリッシュ
- ・・・・・etc
こうしたたくさんの魅力がありますが、
その魅力は通常、ターゲットに合わせて訴求するのではないでしょうか。
例えば、女性やお年寄りがターゲットなら、
「軽くて使いやすい」
ペットのいる人がターゲットがなら、
「絨毯についたペットの毛もしっかり吸える」
デザインにこだわる一人暮らしの人には、
「デザインがシンプルでスタイリッシュ」
など、相手の求めているものに合わせて
自社製品の魅力を伝えるでしょう。
しかし、ターゲットが明確でなければ、
商品の魅力を相手に伝えるのは難しくなります。
これと同じことが採用でも言えます。
求める人材像を明確にした上で、
その人材に自社のどの魅力を押し出せば、
志望度を上げることができるかを考えるのです。
求める人材の必要要件

どの会社にも「採用基準」があり、
人材をたくさん集めたいからといって、
必要以上に基準を下げるのはおすすめできません。
しかし、必要な要件を盛り込みすぎてはいませんか。
良い人材が欲しいからといって、あれもこれも必要要件にしてしまうと、
対象者が著しく限定されてしまい、
少ない対象者の中から優秀な人を選ばなくてはならなくなり、
採用の自由度が狭まってしまいます。
最初から自社にピッタリと合う、完璧な人はいません。
入社後に、教育や研修で獲得できる能力なら、
採用要件には盛り込まない方が賢明です。
例えば「コミュニケーション能力」は、
多くの企業の選考で重視されている能力です。
そのため、面接での受け答えがしっかりしていたり、
自分の説明が上手な応募者は評価が高くなります。
しかし、コミュニケーション能力や対人スキルなどのヒューマンスキルは、
適切に教育すれば簡単に伸ばせる能力になります。
教育できないものを重視する
ヒューマンスキルのように比較的に教育が容易である要素がある一方で、
教育できないものもあります。
その代表的なものが「価値観」「性格」です。
目の前の応募者は、
あなたの会社の経営理念やミッション、ビジョンに共感しているでしょうか。
コミュニケーション能力など、一見してわかる外見的な能力も大事ですが、
会社の理念に共感し、同じ志を持って働いてくれるかどうかを見極めて、
そのような人材を採用するべきです。
演繹的アプローチと帰納的アプローチ
求める人材像を決める時にには、
「演繹的アプローチ」「帰納的アプローチ」を用いてみましょう。
「演繹的アプローチ」は、社内には存在しないスキルや性格から
人物像を導き出すアプローチで、
どのような人材がいればもっと良くなるかを検討します。
主に事業環境を変化させていく時に用いられます。
「帰納的アプローチ」は、社内に存在する優秀な社員の中から、
求める人材像を導き出すアプローチで、
一般的には事業環境が安定している時に有効となります。
求める人材のペルソナ設定

ペルソナとは、マーケティング用語として使われる場合、
「商品・サービスを利用している典型的な顧客像」を意味します。
採用でもこのペルソナの設定を利用します。
多くの企業の採用場面では、求める人材像は、
「コミュニケーション能力が高く、前職で営業実績があり、
自分で考えて行動でき、地頭が良い人」
といったように抽象度が高く曖昧です。
このような曖昧な人物像だと、
採用の現場で複数人の担当者と共有するのが難しくなります。
例えば営業実績はどれぐらいあれば良いのでしょうか。
地頭が良い人というのは、具体的にどういう人でしょうか。
人によって解釈が全く異なってしまいます。
すべての担当者間の認識を合わせるには、
具体的に人物像を設定しなければならないのです。
それがペルソナです。
採用では、
- 氏名
- 性別
- 年齢
- 現在の職種や経歴
- 資格
- 出身校
- 性格
- 趣味
- 転職の理由
などの情報を細かく設定していきます。
ペルソナを設定する過程で、
採用担当者や面接官同士で、自社が求める人材像が
- これまで他社でどのような実績を残してきたか
- 問題にはどのように対処するか
- 自社にはどのような感情を抱いているか
などを話し合い、イメージをすり合わせる作業が必要になります。
こうして担当者間でイメージを合致させていくことで、
選考基準のずれを防ぐことができます。
具体的には、ペルソナを設定することで
- 担当者間で求める人材像の認識を合致させる
- どのような人物に訴求すれば良いか明確になる
- 選考基準にブレがなくなる
- 候補者への動機づけがしやすくなる
ことが可能となります。

