Lesson4-7 その他の業務①

このページでは、人事部門の業務のうち、
「福利厚生」と「メンタルヘルスケア」について解説します。

福利厚生

就職活動や転職活動を経験したことがある人なら、
応募予定の会社の福利厚生にはどのようなものがあるか、
チェックしたことがあるのではないでしょうか。

福利厚生は給与や賞与以外に会社が本人やその家族に提供するもので、
生活や健康を向上させるための施策・サービスです。

福利厚生には次の2種類があります。

法定福利

法定福利は、法律で義務づけられた福利厚生です。

具体的には次のようなものが法定福利に該当します。

  • 社会保険
  • 健康保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 介護保険
  • 子ども・子育て拠出金
  • 厚生年金
  • 健康診断

法定外福利

法定外福利は、法律上の義務はありませんが、
会社独自の判断によって提供する福利厚生になります。

具体的には、次のようなものが法定外福利にあたります。

  • 住宅補助関連(家賃補助、社宅など)
  • 余暇、レクリエーション(保養所、社員旅行、旅行支援など)
  • 自己啓発、能力開発
  • 慶弔・見舞い
  • 休暇(アニバーサリー休暇、バースデー休暇など)
  • 職場環境(フレックスタイム、時差出勤、時短勤務など)
  • 社員食堂、食事手当

カフェテリアプランについて

法定外福利については、
社員の年齢や家族構成、趣味などによって、
利用する人、利用しない人がおり、どうしても不公平感が生じます。

そこで、「カフェテリアプラン」を導入する企業が増えています。

カフェテリアプランは1970年代にアメリカで誕生し、
日本では1995年に初めて導入されたと言われています。

「カフェテリアプラン」は、毎年社員に一定のポイントを付与し、
会社が設定した福利厚生メニューの中から、
好きなものを選んで利用できる福利厚生の仕組みです。

これにより、社員1人1人のニーズに応えられるとともに、
人気のないものについては廃止し、
ニーズがあるものはメニューを追加するなど、
会社独自のサービスを提供でき、充実した福利厚生にすることができます。


福利厚生の充実は、社員にとっては会社で長く働き続ける理由にもなりますし、
求職者にとっても会社の魅力の1つになり、志望動機にもつながるでしょう。

メンタルヘルスケア

メンタルヘルスとは、いわゆる「心の健康」ですが、
メンタルヘルスケアも人事部の仕事の1つです。

近年、会社員の長期欠勤の多くは「うつ病」などの
精神疾患であると言われています。

社員が精神疾患により出勤できなくなった場合、
人事部は勤務時間の長さや、
業務量の多さをまずは確認しなければなりません。

精神疾患になったのが「業務上の疾病」と判断されると、
労働災害として取り扱われますが、
労災と認定されるということは、安全配慮義務違反に等しいことであるため、
民事訴訟の対象にもなってしまいます。

メンタルヘルスケア推進のために、
職場環境の把握を日頃から意識し、
予防策を心がけておく必要があります。

具体的には、以下のような取り組みがあります。

社員からの相談窓口

社員からメンタルヘルスについて相談された時、
ヒアリングをしながら産業医とも連携を取り、
必要に応じて医療機関の受診を進めます。

速やかな対応

社員から相談があった時には、勤務時間や業務量、対人関係などを確認し、
配置換えや業務量改善などの対応を取り、
対象社員のストレス軽減に努めます。

その他

定期的な社員のストレスチェック制度の実施推進や、
休職者に対する職場復帰支援なども、
人事担当者に求められています。

ストレスチェック制度とは、
社員のストレス状況について定期的に検査する制度で、
労働安全衛生法66条の10に基づき、
50人以上の社員が在籍する会社は、
年に1回の実施が義務づけられています。


次のページでは、「ハラスメント対策」について解説します。