
人事部門の重要な業務の1つは、「人材育成」です。
これから3ページにわたって、
「人材育成」について解説していきます。
人材育成ができているか
人材育成のポイントとしてもっとも重要なのが、
会社のビジョンと社員のビジョンが一致していることです。
当然と言えば当然ですが、
ビジョンが一致しているかどうかで、
教育の効果には差が出てしまいます。
会社と各社員のビジョンと同様に
- 経営ビジョンと人事部のビジョン
- 経営ビジョンと現場リーダーのビジョン
- 人事部のビジョンと現場リーダーのビジョン
のどれが異なっても育成方針に矛盾が生じてしまうでしょう。
人材育成の大前提として、
それぞれのビジョンを全て一致させるというのがポイントなのです。
これを実行するには、
経営ビジョンを社員にはっきりと伝え、
社員にも同じゴールを目指してもらうことが重要です。
もちろんこれは採用時にもしっかりと確認した上で、
同じ方向性の社員を集めるところからすでに始めていなければなりません。
人材育成は、会社のビジョンに向かって成長したいと考える社員が
対象であることを肝に銘じておきましょう。
前提を確認した上で、まずは以下の3つのポイントに絞って、
適切な人材育成が社内でできているか確認してみてください。
① 目標達成に必要なスキルを持つ人材が充足しているか
まずは、目標達成に必要なスキルのある人材が、
充足しているかという点について確認してみましょう。
この点については、次のようなポイントも見てみてください。
- 要員計画(人材採用や人材配置・異動など人員に関わる計画)を
満たせているか。 - 重要ポジションの後継者はいるか。
- 空きポジションには社内異動で人材が充足されているか。
重要ポジション(役員や幹部)の後継者については、
現状で人が足りているだけではなく、
将来的にも不足することはないかという点が重要です。
人材が十分に充足できていない場合は、
いくつかの要因が考えられますが、
その1つとしては社内での育成が不十分で、
必要な時に昇格できないということがあげられます。

② 育成コスト・労力とのバランスが取れているか
育成にかかるコストと労力を計るポイントとして、
下記ポイントを確認してください。
- 育成コスト
- 研修コスト
- 育成時間
- 人材育成に関わる人数
これらの数値を把握し、
育成と、コスト・労力のバランスが取れていれば、
育成はしっかり機能していると言えます。
しかし、たとえしっかり人材の育成ができていたとしても、
コストと労力が多くそれに見合っていなければ、
改善の必要があるでしょう。
③ 適切にローテーションできているか
短期的に組織が良いパフォーマンスをあげるには、
基本的には現状維持が優先となります。
しかし、中長期的な視野で見た場合は、
配置換えをして適切に人材の流動性を高めると、
社員は新しい環境で新たな能力や価値観を獲得し、
組織全体の成長が見込めます。
つまり配置というのは、それ自体で人を育成することができるのです。
もちろん、短期的な成果が求められる部門では、
リーダーは優秀な人材を手放したくありません。
同時に、成果を出すかわからない人材をチームに入れるのも不安でしょう。
そのため人事部門は短期的、中長期的視野のバランスを検討して具体策を提案し、
各リーダーが納得できるようなローテーションの提言をする必要があります。
ローテーションが全くできておらず、
同じ人材がずっと同じところで仕事をし続けると、
優秀な人材であっても成長が止まり、パフォーマンスが下がります。
それを見ている部下もそのような先輩や上司を見て、
仕事のモチベーションが下がってしまいます。
それを防ぐためには中長期的な視野でローテーションをおこない、
人材の育成を図ることが大切なのです。
適切に人材育成ができているかを、
客観的に見ることは重要です。
今回学習したポイントが、
社内でできているかぜひチェックしてみてください。
次のページでは人材育成の続きとして、
具体的な人材育成プログラムの内容を見ていきましょう。

