
Lesson4では、基本的な人事制度について学習します。
このページではそのうち、
人事制度をつくるのにもっとも重要である、「人事ポリシー」について解説します。
人事ポリシーとは
人事部門でまずもっとも基本的であり、
重要なことは、
「一貫性」
です。
どんな場合においても一貫性を有し、
ブレることなく軸をしっかり保たなければなりません。
例えば人事の担当者によって対応が異なったり、
以前とは言っていたことが違うということがあれば、
人事は社員からの信頼を失ってしまいます。
この人事の軸というのが、「人事ポリシー」となります。
人事ポリシーとは、
企業の、そこで働く人に対する考え方であり、
方向性を指し示したものです。
人事ポリシーが必要な理由
人事ポリシーは、人事部門に不可欠です。
人事ポリシーがなければ人事制度の方向性が定まらないからです。
方向性が定まっていなければ、
人事部門の業務である採用、教育、評価など、
さまざまな業務内容に支障が出るでしょう。
特に社員の評価は、評価担当者によってばらつきがあると、
社員は不満を抱きやすく離職にもつながります。
人事ポリシーがあれば、
担当者が異なっても業務に一貫性を持たせることができるため、
社員からの信頼を得ることができると同時に、
トラブルが減り業務効率もアップします。
人事ポリシーを設計する

人事ポリシーの設計は、
いくつかの要素をフレームとして用いながら、
経営者と確認しながら設計していきます。
フレームとなる要素には複数ありますが、
ここでは主となる以下の3つに絞って解説します。
企業理念、方向性の確認
人事ポリシー設計で大前提となるのは、
会社理念や組織の方向性です。
会社が何を目指しているかを明確にすることが、
人事ポリシー設計の最初のステップです。
企業理念に沿ったビジョンや戦略を考えてみましょう。
ただしビジョンは短期的ではなく、
長期的な目線で一貫性のあるものにします。
ここをはっきりさせることで、
次の2項目も明確になっていきます。
求める人材像の確認
ビジョンや戦略を確認したら、
それを達成するためにはどのような人材が必要か、
会社が求める人材像を明確にしてみましょう。
次の例のように、
会社にとって重要なポイントを考えていきます。
- 長期雇用を想定しているか。
- 具体的にどのようなスキルを求めているか。
- 将来どのような人材になってほしいか。
- 新卒と中卒の割合。またはどちらを重要視するか。
- 個人とチームワークのどちらを重視するか。
- 人間力と能力のどちらを重視するか。
- 同じようなタイプの人材を集めるか、多様性を重視するか。
評価基準の確認
ここでは、会社が社員に何を求めるかを明確にします。
それだけではなく、目標を達成した時の、
昇給や待遇についてはっきり明示しておくと、
社員に伝わりやすいでしょう。
評価制度は社員のモチベーションに直結します。
しっかりと決めておけばやるべきことが明確になり、
社員は主体的に仕事に取り組めるようになるでしょう。
具体的には次のようなポイントです。
- どのような成果をあげれば評価されるか
- どのような行動をすれば評価されるか
- キャリアアップに必要なものは何か
などです。
評価については後のレッスンでも詳しく解説します。
人事ポリシーの例外な扱い方

前述した通り、人事ポリシーは経営者と話し合いながら設計していきます。
しかし、経営者というものはそもそも視野もネットワークも広いため、
さまざまな情報を仕入れては新しい発想を生み出します。
それが人事ポリシーに沿わないものであることも、多々あるでしょう。
経営者からの命令が人事ポリシーの範囲外である場合、
「人事ポリシーに沿わないからできない」とは
言えません。
それは会社の成長にとっては必要なことかもしれないのですから。
そのような時、それが例外的に行われるのか、
それとも今後も継続して行われていくのかは、
明確にしておく必要があるでしょう。
継続するのではあれば、「人事ポリシーの変更」という形になります。
例外か変更か、それを見極めて実行するのが、
人事の役目なのです。
以上、人事ポリシーについて解説しました。
人事部門には一貫性を保つことが何より重要であり、
そのためには人事ポリシーが役立つことがわかりましたね。
次のページでは、「人材育成」について学習しましょう。

