Lesson10-1 内定者フォロー

これまで採用について学習をしてきましたが、
せっかく良い人材を獲得しようと採用に力を注いでも、
途中で辞められてしまっては意味がありません。

Lesson10では、良い人材を維持するために必要なことについて
解説します。

まずは、入社前の「内定者フォロー」について学びましょう。

内定辞退は当たり前

リクルートの調査によると、
2023年卒(3月卒業時点)の内定辞退率は、
65.8%となっています。

この数字はつまり、10人に内定を出したとすると、
6人以上に内定辞退されるということです。

会社が内定を出した候補者は、
他社からも内定をもらっていることが多いのです。

しかし最終的には、求職者は内定をもらった企業のうち、
1社しか選ぶことができません。

内定者に自社を選んでもらう

複数の企業から内定を獲得している候補者に、
自社を選んでもらうにはどうしたら良いでしょうか。

それには「内定者フォロー」が重要になってきます。

内定者が自社を選択するという決断を手助けするために、
志望度を高めるような機会をたくさん提供するのです。

実は多くの企業は、
内定者のフォローに時間を割くことができていません。

会社説明会や初期選考に時間配分を多く取っており、
内定者フォローが疎かになってしまっているのです。

しかし、内定者に面談をしたりするなど、
内定後のフォローを徹底することも採用と同じぐらい重要です。

特に採用責任者は、選考の初期段階ではなく、
内定者と親密な関係が築けるように、
内定後の時間配分を多く取るようにしましょう。

内定者フォローの方法

面談の実施

内定後に大切なのは、
内定者との絆を強くすることです。

そのためには、まずは面談が必要です。

面談は面接とは異なり、
評価には関係しないカジュアルな場です。

面談においては、内定者は会社と対等な立場であり、
お互いの理解を深めることが目的になります。

そのため、会議室などよりもカフェなどのオープンスペースで会った方が、
内定者も気軽に参加できます。

面談では内定者の情報を収集しましょう。

  • 今悩んでいることは何か。
  • 他社の選考状況はどうか。
  • 企業選びで重きを置いているのは何か。

などといった情報です。

まだ関係が深まっていない段階では、
会社側の意見を言うのはやめておきます。

内定者が話す内容に対して、

「そうなんですね」
「そういうこともありますよね」

と、まずは受容してあげると、
内定者も自分の現状を話しやすいです。

その中で、その面談を担当する採用担当者が、
「自分のこと」を伝えてあげてください。

「自分が就職する時もどこに行くか迷ったけれど、
自分は〇〇という理由でこの会社に決めたんだよ。
その決断は今も正しかったと思っているよ」

というふうに。

会社の採用担当者というよりはむしろ、
「何でも相談できる先輩」という立場になれるのが理想です。

内定者のタイプ別にアプローチ方法を変える

人はそれぞれ、
仕事のどのような部分にモチベーションを感じているか異なります。

例えば、職場の雰囲気や同僚との相性にモチベーションを感じるタイプがいます。

このようなタイプには、
相性の良さそうな社員に会わせてみるのが効果的です。

一方で、「仕事」自体にモチベーションを感じるタイプもいます。

このタイプの人は、仕事の面白さや、自分が仕事で能力を発揮することに
喜びを感じるので、
インターンシップで仕事を体験させてあげたり、
会社の企画書を見せてあげたりすると良いでしょう。

このように、一律で同じように対応をするのではなく、
面談で情報を集めてある程度タイプを絞り込み、
内定者のタイプに応じてアプローチしていきましょう。

定期的に連絡

直接面談をするだけでなく、
定期的に連絡するようにしましょう。

ペースは、週に1回という企業もあれば、
隔月に1回という企業もありますが、
連絡が少ないと絆は弱まりますし、
逆に高頻度の連絡は負担を感じさせてしまうケースもあります。

内定者に応じて適切な頻度を見極め、定期的に連絡を入れると、
内定者は「自分は気にかけてもらえている」と思うでしょう。

電話の場合、1回の電話時間は数分程度にして、
負担に思わせないように配慮してください。

採用クロージング

内定者との連絡で関係が密になったら、
タイミングを見計らってクロージングをします。

クロージングでは、採用したい理由や評価しているポイントを伝えます。

また、入社後の育成プランなどまで話してあげると
内定者のキャリアのことを会社側が真剣に考えているということが
伝わって良いでしょう。

クロージングは、誰が行うのかも重要です。

会社の規模にもよりますが、
一般社員よりは管理職や社長がクロージングをした方が、
会社側の本気度が相手に伝わるでしょう。


内定辞退が多いこの時代、
採用の成功の鍵ともなるのがこの内定者フォローです。

これまで内定後のフォローにあまり時間をかけてこなかった場合は、
次の採用では、必ず内定者フォローを入れるようにしましょう。

次のページでは、新人教育の基本について解説します。