
人事・採用の仕事について学ぶ前に、
人事制度の歴史について学習しておきましょう。
人事の起源や歴史を知っておくことで、
これからの人事のあり方の参考になることもあるでしょう。
人事制度は、時代とともに歩み、時代とともにめまぐるしく
変化を遂げてきました。
これまでさまざまな概念や制度が生まれましたが、
それでも今もなお、人事制度のあり方については模索中なのです。
ここ数年ではリモートワークが劇的に増えたり、
休みのあり方、副業の広がりなど、
人事的側面から見る企業の変化もとどまるところがありません。
Lesson2ではこれまでの人事制度の歴史を振り返り、
今後のマネジメントのヒントを探してみましょう。
人事の起源を考える
組織には、最初から人事部があったわけではありません。
ある目的を持った人が、
その目的を達成するために人を集めて組織をつくる時、
必ず人のマネジメントが必要となります。
最初はどの企業にも人事部はなく、
経営者やリーダーとなる人が、
仕事に必要な人材を探して確保し、
教育し、適正に応じて仕事を与え、そして評価をしてきました。
人事部ができたのは事後的であり、
人のマネジメント部分のみを抽出し、
そこに集中して仕事をする人を配置したのが始まりです。
もちろん、現場で行われている人のマネジメントを代わりに行い、
そこに焦点を絞って業務を行うからには、
人材の確保や教育にかかるコストなどを管理してパフォーマンスを上げ、
付加価値を提供する必要があります。
そこで人事部の存在意義や、
人事部のあり方などが、議論されるようになったのでしょう。
こうした人事のそもそもの起源を考えることで、
人事がなぜ必要なのか、どうあるべきなのかを考える
きっかけになればと思います。
ウルリッチが提唱した人事部の役割
それでは人事部は、
企業経営の中でどのような役割を果たすべきなのでしょうか。
アメリカのデイビッド・ウルリッチ教授は、
著書「MBAの人材戦略」の中で、
人事部が経営者のパートナーとして果たす役割を、
下の表のように4つに整理して表しました。

この表からわかるように、ウルリッチの考える人事の役割は、
人事部の業務である「採用」「配置」「教育」などといった活動面から
役割を考えるのではなく、
人事部が経営のパートナーとして、
どのような価値を生み出し貢献すべきかということを示しています。
つまり人事部も、企業目標を達成するための担い手として、
価値を提供することが求められているということです。
従来、人事部の業務と言えばウルリッチの表で言う、
「管理エキスパート」の部分がほとんどでした。
しかし、人事部はそれ以外にも、
経営戦略に応じた人事戦略や社員のケア、
組織と人の変革を推進する役割も担います。
縁の下の力持ち的な人事の業務も視点を高くすると、
経営のパートナーとして非常に重要な役割を果たしていることがわかります。
次のページでは、人事制度の歴史を年代ごとに学習していきましょう。

